
東京佼成ウインドオーケストラ 第98回定期演奏会
2008年10月10日(金) 紀尾井ホール
指揮:渡邊一正
ハープ:竹松 舞(客演)
トランペット:安藤真美子
クラリネット:大浦綾子
フルート:前田綾子
プログラム:
「ブリタニキス」より “ナルシス”のファンファーレ/A.ジョリヴェ
陽気なパリ/J.フランセ
序奏とアレグロ/M.ラヴェル(木村政巳)
交響曲第一番 ハ長調 作品21/L.V.ベートーヴェン(W.フッチェンルイター)
交響曲第一番 ハ長調/A.ゴーブ
東京佼成ウインドオーケストラの2008-2009シーズン開幕にあたる、通常の吹奏楽編成ではなく小編成による管楽合奏曲を取り上げる紀尾井ホールで行われる恒例の演奏会。フェネルが常任指揮者だったころカザルスホールで開催されていた“佼成ウインド・ソロイスツ”を定期演奏会シリーズに組み込んだ形だ。前半はフランス人作曲家の作品、後半はベートーヴェンの交響曲第一番の管楽合奏版とそれを元の作曲されたゴーブの交響曲第一番を並べるというプログラム。実演に接することが難しい曲が多く、私も聴いたことがあるのはラヴェルの『序奏とアレグロ』とベートーヴェンの『交響曲第一番』だけだった。
1曲目はアンドレ・ジョリヴェの『「ブリタニキス」より“ナルシス”のファンファーレ』。ラシーヌの戯曲につけた全6曲からなる劇付随音楽の中の1曲。トランペット、トロンボーン、ホルン、チューバという金管郡にティンパニー、スネアにゴングという打楽器が加わる編成。下から突き上げるような音形が印象的でとにかくカッコいい前後半部に挟まれた不穏な中間部のコントラストがいい。
2曲目はジャン・フランセの『陽気なパリ』で 1.行進曲 2.ワルツ 3.ギャロップ の三曲からなる。独奏トランペットに木管楽器郡、ホルンという編成で洒脱な曲を軽快に聴かせた。
3曲目はモーリス・ラヴェルの『序奏とアレグロ』。オリジナルの独奏ハープにフルート、クラリネット、弦楽四重奏という編成を伴奏も含めた独奏パートはそのままに、弦楽四重奏部分をホルン、サクソフォンを含んだ管楽合奏に編曲したもの。管楽合奏は音量が大きくなりやすいのでハープのような音量の出ない楽器の伴奏には向かないと思ったが、編曲の力か繊細な表現で楽器種が多いことを生かした色彩感が見事。
休憩を挟んで後半はベートーヴェンの『交響曲第一番 ハ長調』の管楽合奏版から。『交響曲第7番』のような作曲者自身の編曲ではなく1796年生まれのオランダの作曲家ウーター・フッチェンルイターが編曲した版。ハルモニームジークにトランペット、ティンパニーが入ったような編成で『第五』や『第九』に通ずるベートーヴェンらしさが感じられる。
最後は『アウェイデイ』などの吹奏楽曲でも知られるアダム・ゴーブの『交響曲第一番 ハ長調』で、ベートーヴェンの交響曲第一番を素材として用いて調性やテンポ設定まで同じにしながら別の曲を創り上げた。編成はハルモニームジークのようでサクソフォンやホルン以外の金管楽器、打楽器を含まない。よく聴かなければベートヴェンが素材であることは気づかないが、終楽章のブラームスの一番の引用はかなりストレート。知人の誕生パーティ用に書かれたというだけあって肩の力の抜けた、しかし音楽的には面白い曲だった。
どの曲も面白く選曲も意欲的で演奏も素晴らしかったのだが空席が目立った。この室内楽シリーズはフル編成の演奏会より空席が多く感じるのだが、吹奏楽関係者には馴染みの薄い曲が多いからかもしれない。フェネルの提唱したウインド・アンサンブルの考え方を最も実践している演奏会だと思うだけに少し残念な気がした。
参考音源
・“ナルシス”のファンファーレ
フィリップ・フェロー 指揮 パリ警視庁音楽隊
HMV→ジョリヴェ:管弦楽作品集
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